地方競馬の廃止・存続問題

地方競馬の廃止・存続問題

地方競馬を含む公営競技は長年にわたり地方自治体の貴重な収入源となってきた。しかし近年、バブル崩壊以後の不況の長期化、一般大衆の「ギャンブル離れ」、公営競技施設・レース数の過剰、レジャーの多様化、サッカーくじ「TOTO」や数字選択式宝くじの登場、パチンコ産業との競合など、様々な要素が原因となって収益が悪化していった。

地方競馬においては、管轄である農林水産省の下に、競馬主催者である「日本中央競馬会 (JRA)」と地方競馬のコミッショナー的役割のみを果たす「地方競馬全国協会 (NAR)」という2つの特殊法人がある構造(競馬の二層化構造)の下で、それぞれの主催者が特定の地域のみに限定された興行を実施してきた。

大井競馬場のように「トゥインクルレース」と銘打ったナイター競走の開催、施設の大幅な改築・改善、メディアを活用した若者層の取り込みなどを行った結果、収益が安定した例もあるが、こうしたケースは非常に希有な例であり、全国の一等地に競馬場・場外発売所を構え、電話投票やメディア展開を全国的に行ったJRAに対し、ほとんどの地方競馬は競馬場本場の売上げに依存する赤字体質から脱却できていない。

本場依存体質を脱却できる可能性のあったその電話投票においても、岩手・南関東(南関東4競馬場電話投票システムSPAT4)・兵庫などの主催者が自らで立ち上げた電話投票システムがあるにも関わらず、主催者の売上げに応じた分担金(黒字・赤字に関わらず売上げの1.4%)で運営されているNARが地方競馬共同在宅投票システム、いわゆる「D-net」を後発で立ち上げ、道営・岩手・兵庫のシステムを吸収した後に、2005年12月にD-NET参画主催者の承認もあいまいなままにソフトバンクグループに身売り同然で全ての権利を売却してしまうなど、足並みの乱れが見られる。

既に廃止された上山競馬場や高崎競馬場、名古屋競馬場、ばんえい、福山競馬場、高知競馬場などでは「個人協賛競走」として個人・団体から小額の協賛金等で希望の名前の冠競走を開催するなど様々な方策も出てはいるが、決定的な一打にはなっていない。

2004年の高知競馬場でのハルウララ人気による高収益も一時的なものという見方が強く、事実ハルウララ休養以後高知競馬場の収益は赤字に転じており、ハルウララ引退後の方針も見通しが立たない。結果として、2004年度は主催者すべてが赤字となり、全国合計の赤字額も189億円に達している。更には、地方自治体への収入減になっているどころか、逆に公営競技の赤字補填を行わざるを得ない状況で、このまま赤字が累積した状況が続くと自治体も破綻しかねない状況だと言われる。このため、自治体によっては地方競馬の休止・廃止に追い込まれたケースも少なくない。

一方、一般的な自治体がバブル期に作った夥しい数の第3セクターや、水道・下水道などの公営企業がそれぞれ背負ってしまっている巨大な負債と比較すれば、赤字の規模も小さく、また徴収された税金が建設業界のような特定の業界だけに集まる仕組みと異なり、投じられたファンのお金が農業・雇用・観光など公的な分野に回転していくことや、競馬ファンを通じて首都圏や関西圏に対する知名度のアップにもつながることから地方競馬を(特に馬産地・観光地である道営・ばんえい競馬は)保護するべきだという意見もある。